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コラム

第43回 生成AIが技術マネジメントに与えるインパクトとリスク

 近年、生成AI(Generative AI)は驚異的なスピードで進化を遂げています。その背景には、2017年に発表された「トランスフォーマーアーキテクチャ」の登場が大きく関わっています。この技術革新により、AIは膨大なデータを効率的に学習し、人間に近い自然な文章や画像、音声を生成できるようになりました。特に、ChatGPTやDALL-Eといったツールは、多言語対応の文章生成や創造的な画像制作など、多岐にわたる分野で応用され、ビジネスや日常生活における活用が急速に拡大しています。生成AIは単なる技術ではなく、新しい価値創造の基盤として、今後も大きな役割を果たすと期待されています。

 技術マネジメントにおいても、情報分析、アイデア創出、意思決定を支えるツールとして、大きな役割を果たす可能性を秘めています。特に、研究・技術開発プロセスの効率化や新たなイノベーションの創造に取り組む企業にとって、生成AIの活用は、その競争力に直結する最も重要な課題となっています。

 生成AIは、膨大なデータを短時間で分析し、トレンドやパターンを見出すことができまることから、技術戦略・R&D戦略の策定と研究開発投資の意思決定をスピードアップすることができます。また、生成AIは、新しい技術やプロダクトのアイデア創出やコンセプト設計においても大きな力になります。技術者、研究者の思考の幅を広げ、仮説検証サイクルを高速化することにより、R&Dの生産性は飛躍的に高まる可能性があります。

 生成AIは、多くの場面で有用ですが、一方でその活用にリスクもあります。その一つは、アウトプットの根拠を明確に説明できない場合があることです。特に技術マネジメントにおいては、戦略立案や意思決定を支えるツールとして透明性が求められるため、アウトプットに対する信頼性の確保が課題となっています。 二つ目は、情報のセキュリティと倫理的問題です。技術マネジメントにおいて、生成AIが扱うデータは、機密情報を含む場合が多く、入力するデータや会話の内容、アウトプットを学習データとして利用しないようにする・消去させるなどの適切なセキュリティ対策が必要です。加えて、学習データが偏っている場合、生成AIのアウトプットが、不適切な結論や倫理的な問題を引き起こす可能性もあります。

 人とAIが共創する時代において、生成AIを効果的に活用するためには、現場の一人ひとりの技術者、研究者のAIリテラシー、すなわちAIのメリットとリスクを理解して適切な場面で活用し、そのアウトプットを成果に繋げていく力を高めることが求められます。ケミストリーキューブは、これまで開発してきた技術構造化手法 iMap®️を核にした独自の技術マネジメント・メソッドに生成AIを組み合わせたソリューションを展開し、R&Dの技術力・価値創造力の向上と技術人材の開発・育成を支援してまいります。

ケミストリーキューブ
平木 肇

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