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コラム:コンサルティング現場からの「気づき」COLUMN

第18回 イノベーションへの第一歩

昨今、ものづくり企業の現場でイノベーションという言葉を聞かない日はなくなりました。さらには、企業だけでなく、国や地方自治体の政策、あるいは学校などの教育現場においてもイノベーションという言葉が用いられ、社会における様々なシーンに浸透してきているように思います。

 しかし、一方でイノベーションという言葉だけが先行してしまい、その概念が明確に定義され、共有されているかというと少し疑問に感じます。かつては、イノベーション=技術革新として理解されていた時代がありました。その名残か、現在でもイノベーション=革新というように訳される場合もあります(さすがに、「技術」という限定はなくなりましたが)。私としては、イノベーション=革新という定義は、正直どうも腹落ちしません。なぜなら、目的なくただ革新することはイノベーションではないと思うからです。

 では、イノベーションとは何でしょうか。様々な経営学の学者やコンサルタントの方々が語っていますが、わかりやすく腹に落ちる概念としての定義にはあまりお目にかかったことはないように思います。そこで、ここでは私なりにイノベーションについて定義してみようと思います。

 イノベーションについて考える時、2人の偉大な経済・経営学者を外すことはできないでしょう。一人は、ヨーゼフ・A・シュンペーターです。シュンペーターは、100年以上も前に活躍した経済学者ですが、ダンナミックな経済変動の要因は、新たな需要を創造する新結合(既存の知を結合させて新たな知を生み出す行為)であることを看破しました。そして、この新結合をイノベーションと呼びました。また、新結合により新たな需要を生み出すことで、経済成長を促進し、社会を変えていく人々を企業家(アントレプレナー)と名付けました。
 もう一人あげるとすれば、ピーター・F・ドラッガーでしょう。ドラッガーはその著書『イノベーションと企業家精神』の中で、「イノベーションは、既存の資源から富を生み出す。イノベーションは、技術に限ったものではない。モノである必要さえない。」と言っています。

 私は、イノベーションは「価値の創造と具現化」であると定義しています。すなわち、イノベーションは、単に既存のものを新しくすることではなく、顧客そして社会に新たな価値を創造すること、そして収益が伴う事業にすることであるとして理解しています。どんなに、革新的技術を開発しようとも、組織を変革しようとも、生産や物流の仕組みを変えようとも、それらが価値を生まなければイノベーションではないのです。そして、ものづくり企業のR&Dは価値創造を目的にして仕事をする組織です。それは製品開発だけでなく、要素技術や評価・解析技術、製造・生産技術などを担っている研究部門や技術開発部門についても同様です。むしろ、このような一見顧客から遠いように思う組織こそが顧客価値を目的とした仕事をしていくことが大切です。

 R&Dがイノベーションに取り組む第1歩は、ことさらに技術革新ネタを探すことではなく、まず自らの技術を使うお客様は誰か、そしてお客様はどのような価値を感じているのか、なぜ他社からではなく自社から買うのかをじっくり考え、そして自分達が開発した技術を使う顧客の姿を具体化し、共有することだと考えます。

2016年2月
式会社ケミストリーキューブ
平木 肇



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